【売れるしくみのコラム No.34】着物業界のマーケティング
ライフスタイルが変化するとともに、日常生活で和装をする機会は減っている。
呉服の小売金額は、この10年数で半分に、30年では5分の1までになっている。
これほど急速に市場が縮小している産業は多くない。
着物の市場がここまで急速な変化をしているのは、和装離れが進んでいることもあるが、それ以外にもう一つの理由がある。
着物業界のピークは昭和60年代(1985年ごろ)である。
景気がピークを迎えたころであり、贅沢品の購買が一気に増え、着物業者も高額商品を次々に作り売った。
現在でも当時に作られた反物や呉服生地は手間暇が掛る高級品となっているほどである。
その結果、昭和30年代に比べ、客単価は5~10倍に膨れ上がり、市場は急拡大した。
このころ、西陣織の生産量が大幅に減ったことが価格も高騰している。
こうした市場の急拡大の影響もあり、その反動も受けて急速にシュリンクしていった。
ここ10年では減少幅は10%程度となり、それまでに比較すると減少幅は小さくなっており、前年に比べて微増する年もある。
このような厳しい市場においても、ポリエステルなどの低価格素材の商品の拡大、着物レンタルや着物イベントによる和装機会の提供といった多くの工夫をしている。
最近は、インバウンド効果で、舞妓パパラッチが起こるほど和文化に対する意識は変化している。
様々な機会をビジネスチャンスを捉えて売上につなげていくのは、数百年続く市場の強さを感じる。
北林弘行
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